①ローカルビジネスに極めて有効なfacebook

2011年夏に前職を退社し、同年11月に7-Colors鶴岡ガラスアート工房を設立したのですが…

恥ずかしながら資金、ノウハウ、顧客、全てがゼロからのスタート。

研修を経て営業を開始した2011年3月は東北大震災が発生したことで見込んでいたブライダル需要がまったく無くなってしまうという、まさに前途多難な起業人生の始まりでした。

絶望的な状況から少しずつ軌道に乗せていくことが出来たのはfacebookがあったからこそだったのです。

 

ローカルビジネス志向

インターネット通販に従事し多少のノウハウがあったからこそ、

今から資金もなくネット通販事業に参入する難しさを認識してしまっていました。

同業者が全国に何百もいる中、競争を勝ち抜いてネット通販で成功させる自信がなかったわけです。

 

 

「インターネット時代に突入し商圏は全国に広がっている。今こそ地方から全国にもっと発信すべき!」

そんな声が当たり前のように聞かれ、日本中のお店が簡単に参入できるインターネット通販にどんどん参入していきました。

気付けば地方の商店の目がどんどん外へ外へ向いてしまっているんじゃないだろうか。

外へ外へ。そして新規のお客様を求めて莫大なコストをかける。

一番大事な身近にいるお客様~家族や親戚、友人やご近所さん、地域の方たちをないがしろにしてしまったないんだろうか。

そんなことを考えるようになっていました。

 

まず地元で愛され支持されるお店であるべきでなかろうか。

地元で愛され基盤のしっかり出来たお店になってこそ、全国でも競争出来るお店になるんじゃないだろうか。

 

周囲の予想や期待を裏切るように、私はローカルビジネス志向で行こう、と心に決めました。

無料の情報発信ツール

とは言え資金もゼロからのスタート。

地元で広告を出したりお金をかけて販促する、なんてことが一切できません。

チラシも作れなかったし実績も無いから営業回りもなかなかうまくいきません。

 

そうなってくると頼れるのが無料で活用できるWEBツールです。

ホームページ、ブログ、twitter、その他SNS…

お金は無いけど時間はありましたから、ありとあらゆるツールを試してみました。

情報発信に疲れ本来の目的を見失う…

商売を軌道に乗せるために、と真剣に取り組むと、片手間な趣味で取り組むよりすぐに結果が見えてきます。

ブログのアクセス数、twitterのフォロアー数はどんどん増え続けます。

そして、投稿を見たお客様が少しずつ来店してくれるようになりました。

 

するとブログもtwitterもランキング上位に顔を出し始めます。

ランキング上位にいるとさらにアクセス数は伸ばしやすくなるので、ランキング上位を維持出来るように頑張って投稿します。

 

ところが…

ランキングが上がり、アクセス数が伸びていくんですが、来店客数や売上はそれに比例して伸びてはいかなかったのです。

気付くとアクセスを集めたいが為にラーメンなど食べ物の投稿が多くなってしまい、投稿はビジネスとは関係のないものになりつつありました。

効果が上がらないから投稿するのも疲れてしまい、少しずつ更新頻度が減っていってしまいます…

facebook本格活用へ

そもそもローカルビジネスで生きよう、地元のお客様とつながっていこう、

と考えていたにも関わらず、やっていたことが極めて無機質な情報発信だけであったことに気付きます。

こんな情報の発信じゃダメだ、もっと外に出てリアルでもしっかり顔を売っていかなきゃいけない。

 

そんなことを考えていた矢先です。

2008年からはじめていたfacebook。

当時知り合いを全然発見出来なかった為、アカウントだけ取ってtwitterと自動連携、まあSEO(検索対策)に多少役立てばいいかな、と思って放っておいたのですが、

2011年、ふと気付けば近隣の方がどんどん利用を初めています。

 

その日から迷うことなく毎日facebookにかじりつきました。

すぐに効果が目に見えてあらわれたfacebook

地元の出羽商工会では、震災時にSNSが生きたことから地域で積極的にSNS=特にfacebookの活用を推進しようと取り組み出していました。ユーザーが急に増えたことも納得。

 

さらに、普通なら自分でどんどん操作してみて本も見ないで覚えていくタイプな自分が、

何を思ったか商工会主催のfacebook初心者講座に参加。結果的にこれが転機となりました。

 

正直初心者レベルに合わせた勉強会から操作や運用を学ぶということに期待していなかったのですが、

40名ほど来ていた参加者と名刺交換したところ、その日には友達が一気に増えてしまったのです。

 

投稿すればレスポンスがどんどん来るし、その投稿を見た友達がどんどんお店に遊びに来て下さいます。

無謀にも起業間もなく企画したガラスアートの個展には、facebookを通じて50名のお客様がご来場下さいました。

(地元既存メディアからの来客は1名のみです。知名度もないから仕方ありませんが)

 

そして、facebookを本格活用してわずか2か月後、月次の売上は一気に5倍まで伸びたのでした。

(もっともそれまでの売上があまりにも低かったのも事実ですが、間違いなくここがターニングポイントでした)

ローカルならではのfacebook活用へ気付く

facebook活用を機に商売が軌道に乗り始めたわけですが、ここに至るまで明らかに他のWEBツールと違っていたことがあります。

 

それは、これまでWEB上の仮想空間でのみ出会いやり取りしかしていなかったのが、

facebookはリアルに出会ってから友達としてつながり、実名公開という安心感の中で交流していったということです。地元のイベントに積極的に参加したり、facebookをやっているお店をどんどん訪問してリアルで出会った友達がどんどん増えていきました。

 

facebookの友達は、工房に遊びに来たり商品を購入しては投稿し、チェックインし、タグ付けしてくれたことで口コミで知名度が飛躍的に上がっていきました。

 

購入して下さった方も商売して下さっている方が多かったのですが、お金のなかった自分にはそのお店の商品を買うことが出来ず、申し訳ない気持ちで友達のお店や商品を紹介したりチェックインしたりしていったところ…

逆に物凄く感謝され、さらに7-Colorsを利用して下さったり広めて下さったりする方がどんどん増えていきます。

 

まさにこれまでの概念とは異なる、極めてローカルな、実はリアルよりもローカルかもしれないfacebookビジネス活用の可能性をヒシヒシと感じていったのでした。

 

今ではその流れから地元のお客様がどんどん増えていき、開業2年目まで6割がネット通販、4割が地元顧客だった売上比率が逆転し、3年目には地元顧客からの売上が7割、全体の売上も5割アップを達成することが出来たのです。

 

庄内という地域特性も大いに関係あるかもしれませんが、今facebookはローカルビジネスに極めて有効である、と確信しています。